| 奈良市の「休職職員」の「同盟幹部」名刺と営業活動についての見解 |
奈良県部落解放同盟支部連合会
理事長 山下 力 |
奈良市環境清美部収集課の職員Aが、過去五年間にわたって給与を満額受けながら病気休暇・休職を繰り返し、その間、たった八日しか出勤していなかったこと、さらに職員Aが病気で休職中にもかかわらず家族が経営する建設業のことでしばしば市役所に出入りしていたこと等が大きくマスコミで取り上げられています。職員Aが部落解放同盟「川口県連」傘下の古市支部長であり奈良市支部協議会副議長の肩書きがあることが報道されて以降、事務所にマスコミ等から問い合わせが殺到したり、われらのNPOなら人権情報センターのホームページへ怒りや非難、中傷や誹謗に満ちた書き込みが続いています。われらは、職員Aが「わが同盟の組織人ではない」と突き放して事足りるとする立場はとりません。われらは十数年まえから「川口県連」と袂を分かち、行政依存を排し、自立と連帯を基調とした運動方針に大胆に転換してきたつもりです。しかし、われらが仲間から第二の「職員A」は出ないとの確信が持てるほどに新しい運動方針が浸透していないからであります。われらが内なる問題として切開し、一定の見解を明らかにしたいと思います。
まず第一は、市職員の休暇・休職のとり方についてであります。この間の一連の報道に接して、われらの周辺でも「公務員はエエなあ」「なんで、そんなことできるの」の声があがりました。市民の目線で対処してもらうしかありません。過去の「同和対策」を引きずっている問題があるとすれば、現業職の採用に係る情報が広く市民に開かれたものとなっているか否か、です。京都市や大阪市の問題とも共通しますが、1970年代後半には部落の子どもらの教育の機会均等が保障される制度が整い、部落民への就職差別はほぼ解消されています。「現業職は部落の人」という枠組みをはずすことです。
第二の問題は、病欠中に、「支部長」「支部協議会副議長」の肩書きをひけらかせて市との行政交渉に参加したり、いわんや、妻名義の建設業の仕事で市役所に出入りするなどは法律違反も問われかねない言語道断な行為です。行政の窓口も運動体の指導部も見てみぬ振りをしてきたとしたら双方とも解体的な出直しが求められるのではないでしょうか。
第三に、指摘しておかねばならない観点があります。いまや、同和対策、同和教育と特化して対処しなければならない課題はなにもない、ということです。確かに、部落に対する偏見や差別意識は残存しています。しかし、「‘93総務庁実態調査」に明らかなように、20歳代で「夫婦とも地区の生まれ」のものが四分の一しかありませんでした。部落内外の結婚は90%までになっています。また、こどもらの「低学力傾向」「高校進学率の較差」や「高校中退率較差」などは、「母子・父子家庭」「要保護家庭・準要保護家庭」「ニュー・カマー」にも共通する課題です。十年前に60万世帯であった生活保護世帯は、昨年10月に100万世帯を突破しました。部落に特化した施策は、大局を見誤り、“逆差別”を煽ることにしかなりません。奈良市は同和対策と同和教育を完了し、人権施策・人権教育として再出発すべきです。
|
| 2006年10月25日 |
|
|
| Copyright (C) 2003
NPO Nara Personalrights Information Center. All Rights Reserved. |
|