平成16年11月15日
奈良県部落解放同盟支部連合会
理事長 山 下 力 様
天理市教育委員会
教育長 吉 岡 薄
「天理市教育委員会と天理市立二階堂小学校への公開質問状」への回答
本件は、二階堂小学校とN養護学校との交流学習の事前指導における担任の発言に端を発し、関係の児童が登校できない状況となったものですが、これらの問題解決には様々な要因が重なって、長い期間を要することとなり、さらに、学校長の自死という大変いたましい事態もまねきました。
天理市教育委員会として、本件の解決が長期にわたったことなどの問題点を整理し、先般、市議会等に対し「事実経過と今後の課題」として報告したところです。
5月23日の事前指導については、基本的には、N教諭の授業記録により把握をしているところです。
教育委員会としまして、学校と連携した初動の事実確認の不備については、大いに反省をすべき課題であり、今後の対応への教訓としているところです。また、事前学習における発言の差別性・問題性については、N教諭の授業記録の流れを分析する中で一定の結論を得ているところです。
「よだれ」についての言及については、N教諭の以前のN養護学校との交流会における経験が未整理のままであることに起因する問題や、事前学習において子どもたちにどんな情報を提供するべきかについての吟味が十分なされていない問題などから出てきたと考えています。しかし、「犬や猫のよだれ」についての言及も、準備された発言ではなく、交流会を成功させたいというN教諭の思いの延長線上にある発言であり、不適切ではあるが差別的な意図はなかったと判断しています。直接的にはN教諭の事前指導への準備の不十分さが招いたことと理解をしています。そしてまた、S児童の姉がN養護学校に通っていることも含めて、事前学習における配慮事項など、S児童の保護者との共通理解を得るなどの事前の取組があれば、事前学習がもう少し違ったものになっていたのではないかと考えています。
また、この事前学習により、N養護学校に通う姉のことが、N教諭から話題提供されたかどうかは別として、この事前学習で話題となったこと、また、それが障害者(児)との関連の中で話題となったこと、そして事前の共通理解がなかったことなどが、このような結果を招いたと考えています。
一方、N教諭の障害者問題への認識の問題ですが、N教諭の過去の交流会での体験についての総括に関する課題は、本人及び学校としての総括のあり方の問題として、今後、二階堂小学校との話し合いの中で、また、二階堂小学校独自の課題として、交流会のあり方、学校としての位置づけ、総括のあり方などについて、意見交流とまとめをしつつあるところです。そして、N教諭自身の障害児(者)や障害児教育に対する認識については、本年3月の奈良県立教育研究所における一月間の臨時特別研修、4月からの長期研修の中でN教諭のこれまでの取組、とりわけ人権教育、障害児教育について振り返ることにより、今回の事象・問題を見つめなおしてもらうことを期待しているところです。市教委・学校としましても、「共生」の社会を目指す障害児教育の構築に向けて、そしてまた今回のようなことが再発しないよう、天理市内の障害児教育の有り様を点検・見直していきたいと考えています。
学校長の自死という、いたましい事態を招いたことは、市教委としても大変残念なことであり、痛恨の極みであります。学校長は、当初から、担任、保護者の話を何度となく聞き、S児の思いを受け止め、それぞれの理解を求め、みんなが納得できる形での解決を図ろうとしてきました。しかし、発生以来、なかなか解決の糸口を見いだせず、S児には登校したいという気持ちがあったにもかかわらず、長期にわたって登校できない状況が続き、市教委としても学校長とともに解決に向けての取り組みを進めてきました。3学期には母親の一定の理解もあり、校長・教頭・人推を中心としたS児の学力補充に向けての具体的な話し合いが進められていた矢先の2月13日の新聞報道であり、市教委としてその事態収拾と当該学級の保護者会の開催に向け、学校長と共に取り組んでいましたが、及ばず、残念な結果を迎えてしまいました。
本件の種々の問題点につきましては、市教委が教訓とすべき部分、学校が教訓とすべきこと、それぞれ連携を取りながら取りまとめ、具体的に取り組んでいきたいと考えています。現在、「二階堂小学校問題の事実経過と今後の課題」で提起している今後の方向性に沿って、教育委員会、関係学校・園ですでに取組みを始めているところです。
今後、今回のような事案が起こった場合、対応にあたっては、原点に立ち返り、同和教育運動の中で培い確認してきたことを再度検証しつつ、毅然とすべきは毅然とした態度により対処したいと考えていることところです。
以上、ご質問の回答とします。今後とも、ご支援いただきますようお願いします。
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